朗読台本・37 サイコパス

 駅前のコーヒー店で彼女と喧嘩をした。

 きっかけは些細なこと……でもないけれど、ぼくらの未来のことだ。

 あなたは何もわかってないというけど、ぼくだってそうさ。でも、未来なんて不確定要素に、「ずっと」なんてつけられるわけないじゃないか。

 ぼくは傲慢だ。君が何処かに行きたいって言ったとしても、ぼくは君を離さない。それでも、君は、ぼくを気味悪がらないで一緒に居られるって、言える? 君が思うよりぼくは君のことを愛してるんだ。

 君をそう、何処か誰の目も届かないところに閉じ込めてしまおう。頑丈に鍵をかけて、ぼくだけを見ていてくれるように。

 彼女が、聞いてるの?と問いかけてくる。怒った顔も素敵だな、と見惚れていたと、素直に言葉にしたら、平手打ちが飛んで来た。

「わたしは真面目に言ってるの」と、興奮でほんのり赤く色づいた頬も素敵だよ。

 ぼくは、君を閉じ込める悪い悪魔だって、いつ気付くんだろうね?

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